東京テレメッセージ株式会社

防災無線の未来に向けて

1995年の阪神淡路大震災では、昼近くまで総理に被害状況の情報が届かず、兵庫県も状況を把握できずに自衛隊への出動要請が遅れた。その間に火災が広がった。この反省から、現在では官邸(内閣情報集約センター)に災害情報が迅速に集まるようになっている。
巨額を投じたJアラートも無力だった。また、福島原発事故では、周辺住民の多くが原子力緊急事態宣言や避難指示を知らなかったことが、3年後の内閣府の調査で明らかになっている。

「問題は、官邸が持つ情報を現地に伝えることができない点にある」と清野は言う。内閣府や防衛省、国交省がもつ情報がそれを必要とする自治体に伝える手段がJアラートしかない。現行の防災行政無線が市町村単位であるため、国は現地情報を把握できず、必要な情報を直接提供できない。「多くの自治体が限られた財源から巨費を投じて防災行政無線を整備している。地元のしがらみから抜け出せない事情も理解できる。しかし、経済が変わりつつある今、政治も変わらなければならない。」

280MHz同報無線システムは着実に広がっており、日本の変化を感じる。住民の安全に関わる仕事に誇りを持つ防災の現場の人々と、しがらみの政治を断ち切る首長がいなければ、このシステムは広がらない。280MHz利用自治体が6割を超えれば、国も動かざるを得なくなり、国と自治体が共同して住民を守る国家防災体制に向かうことができる。
この道筋をつけることが私の役目だ、と清野は言う。

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